墜落遺体ー飯塚訓
あの航空機事故の記録である。読み始めた当初、なんでこんな本買ってしまったのだろうと後悔してしまった。以前「墜落の夏」(吉岡忍 著)を読んだ時と同じ... とにかく始めはその遺体の凄惨さに悪い夢を見そうだなと思ったが、うなされることはなくそのうち事故自体の凄惨さへ、さらに事故処理の凄絶さへと気持ちが移っていく。
気の弱いヒトにはお薦めできない描写も多いのだが、それを何日も寝ずに検死、検屍する警察や医師や歯科医や看護士、遺族の人たちなどの壮絶な戦いの日々がこれでもかこれでもかという感じで書かれている。五体満足な遺体は多くはなく、初めはそんな凄絶で悲惨な遺体の小さな肉片や肉塊の描写にただただうーんと唸るばかりであったが、そのうちにそんなことがあまり気にならなくなっていく。そんな描写の悲惨さよりも、なんの心の準備もなく去っていった520人の"命の重さ"やそんな家族や友人や婚約者などなどを失った哀しみや苦しみのほうに心が傾いていく... 今回は夢に出てきて眠れなくなることはなく、あっという間に読み終えてしまった。
映像で表現される凄惨さはその強烈な印象だけで参ってしまい心が立ち上がるのに相応のパワーが必要になると思うが、書かれた凄惨さの方がじわじわと心に沁みてじっくり吟味し考えながら次へつなげていくには多くのヒトにはいいような気がする。それでもあの描写にはじめはとてもショックを覚えてしまうのだが...
「墜落の夏」とともに、航空関係者をはじめ命を粗末にするヤカラにはぜひとも読んでほしい本である。(エラソーだが...)

TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144119/40417310
Listed below are links to weblogs that reference 墜落遺体ー飯塚訓:
The comments to this entry are closed.



Comments